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OnStepコントローラーのTMC2130化
先日、ステップモータードライバーの入れ替え、Wifi化、モーター置換を実施しましたOnOnStep駆動のEM-10ですが、自動導入時のトルクを大きくするために、多少モーター電流値大き目に設定すると、恒星時駆動の際のノイズ音が大きくなってしまいました。
TMC2100系ドライバーには、トルクは出ないが超静音のStealthモードがありますので、恒星駆動時はそちらを使おうと思い、StealthモードとSpreadモードをソフト(SPI)で切り替えられるTMC2130を使ってみることにしました。
まだまだマイナーなチップのようで、Amazonでもそこそこ価格がします。仕方なく、納期がかかる中国業者に注文したところ、2週間ほどかかりましたがようやく届いたので、入れ替えを実施しました。こんな感じのやつです。
スケッチの修正は、まずESP8266のSPI設定は無効にし、自動導入時のSPIを有効にします。
//#define ESP8266_CONTROL_ON
#define MODE_SWITCH_BEFORE_SLEW_SPI
#define MODE_SWITCH_BEFORE_SLEW_SPI
モータードライバーの設定は、以下のようにしました。
#define AXIS1_DRIVER_MODEL TMC2130_QUIET_LOWPWR
#define AXIS1_MICROSTEPS 16
#define AXIS1_MICROSTEPS_GOTO 16
#define AXIS1_STEP_GOTO 1
#define AXIS2_DRIVER_MODEL TMC2130_QUIET_LOWPWR
#define AXIS2_MICROSTEPS 16
#define AXIS2_MICROSTEPS_GOTO 16
#define AXIS2_STEP_GOTO 1
#define AXIS1_MICROSTEPS 16
#define AXIS1_MICROSTEPS_GOTO 16
#define AXIS1_STEP_GOTO 1
#define AXIS2_DRIVER_MODEL TMC2130_QUIET_LOWPWR
#define AXIS2_MICROSTEPS 16
#define AXIS2_MICROSTEPS_GOTO 16
#define AXIS2_STEP_GOTO 1
マイクロステップは1/16に設定し、恒星駆動時はStealthモード&50%省電力設定です。修正箇所はこれだけです。
で、実際にスケッチを書き込んで、モーター電流調整後、動作させてみたところ、何だか変です。ノイズ音は相変わらず大きいですし、どうやら4倍速で駆動しているようです。赤経目盛環の1目盛り10分を、2分半で進みます(笑)
赤緯側も同様な動きをしているようなので、結線ミスとかではなさそうです。
今回も、もしかして?と疑ったのは、TMC2130のチップ内の結線です。あまり情報もないのですが、TMC2130をSPIモードで使用するには、とあるジャンパーを開放のままにする。逆に、TMC2100などと同様にスタンドアロンで使用するには、そのジャンパーを結線する、という情報がありました。
そのジャンパーは、チップ裏面の下記の位置のジャンパーです。小さくて見づらいですが、どうやらチップ抵抗が半田付けされています。もちろん、テスターでも0Ωです。なので、SPIモードではなく、スタンドアロンモードで動作しているようです。きっとマイクロステップも1/4と判断されているのでしょう。
写真を撮り忘れましたが、このチップ抵抗を取り外して、ジャンパーが0Ωではなくなったことを確認してテストしてみたところ、しっかり動作しました。
結果は、恒星駆動時は、全く無音です。耳を近づけても全くわかりません。これはこれで、ちょっと良くない気もしますが、しばらくこれで使ってみようと思います。ただ、気になるのは、自動導入開始時に通常のSpreadモードに切り替わるので、その時だけは、多少大き目のノイズが出ますが、まあヨシとしましょう。
なお、自動導入速度の評価はこれからです。もう少し電流値を調整しないと、今の設定では、18Vでも360倍速までは出ない感じです。
以上、TMC2130の置換の情報でした。これからTMC2130を利用してみよう、という方の参考になれば幸いです。
※2018/12/24追記
上記の記事をカキコした後、N.K.Obs.さんから、他にも2個のジャンパーを修正する必要があるのでは?とコメントをいただきましたので、少し調べてみました。
じつは、上記のジャンパーの修正で、たしかに設定どおりにSPIモード(1/16マイクロステップ)で動作するようになってはいたのですが、自動導入動作開始時にかなり大きなノイズ(振動?)が出ることと、最大導入速度が120倍速程度にしかならず、ちょっと不満に感じていて、試しに、導入時もStealthモードにしてみたら、全く静かな上に240倍速は出たので、まあヨシとしていたところでした。
コメントいただいた他の2個のジャンパーうちの1個はCFG4と呼ばれているもので、SPIモードの場合、dcStepという脱調防止機能を有効にするもののようですが、OnStepでは使用しません。使用しない場合は、CFG4をGNDに落とす必要があるようです。もう一つは、CFG5なのですが、これはdcStep機能有効時に意味があるもののようです。
CFG4のジャンパーの場所は、以下の赤丸のものです。小さな3個の端子が並んでおり、真ん中がCFG4、上がGNDのようです。下はVCCなのでしょうね。抵抗値を調べたところ、GNDともVCCとも接続されていません。これでは、使用するつもりのないdcStepが動作している可能性があります。
小さくて修正も大変なのですが、頑張って、上側の2つを短絡してみました。
また、導入速度に影響がでているのかも?と、スケッチも一部修正し、LOWPWRも取ってみました。恒星駆動時にはStealthモードにする設定です。
#define AXIS1_DRIVER_MODEL TMC2130_QUIET
#define AXIS1_MICROSTEPS 16
#define AXIS1_MICROSTEPS_GOTO 16
#define AXIS1_STEP_GOTO_OFF
#define AXIS2_DRIVER_MODEL TMC2130_QUIET
#define AXIS2_MICROSTEPS 16
#define AXIS2_MICROSTEPS_GOTO 16
#define AXIS2_STEP_GOTO_OFF
#define AXIS1_MICROSTEPS 16
#define AXIS1_MICROSTEPS_GOTO 16
#define AXIS1_STEP_GOTO_OFF
#define AXIS2_DRIVER_MODEL TMC2130_QUIET
#define AXIS2_MICROSTEPS 16
#define AXIS2_MICROSTEPS_GOTO 16
#define AXIS2_STEP_GOTO_OFF
この結果、導入開始時の大きなノイズも発生しなくなり、赤道儀単体では、TMC2100並みの18Vで360倍速(Vrefは0.3V)も動作するようになりました。
N.K.Obs.さん!コメント、ありがとうございました。おかげ様で今回の改造の目的が実現できました!<(_ _)>
EM-10のモーターを置換しました
冬になったというのに、夜晴れなくなってきましたので、先日からのOnStepの工作ネタです。
ご存知の方も多いと思いますが、EM-10やEM-200のモーター置換には、以下の点で工夫が必要です。
1)モーターギアの軸径が4mm
→最近の多くのステッピングモーターの軸径が5mmです。純正ギアを使用するには、軸径4mmモーターを特注する、ギアの軸穴を5mmに広げる、モーター軸を4mmに削る、などの方法があります。
2)モーターギア&ウォーム軸ギアの圧力角が14.5°
→モーターギアの穴径が合わないのなら、モーターギアのモジュール値と歯数の合う市販の平歯車と交換する、という手があるのですが、現在の市販品のほとんどの歯車の圧力角が20°で合いません。圧力角14.5°の平歯車を特注する方もいるようですが、モーター並みに費用がかかるようです。
3)ウォーム軸ギアがモーター室の一番奥であり調整が困難
→モーターギア&ウォーム軸ギアも外すには、赤道儀を徹底的に分解する必要があり、調整が大変ですし、別のギアに交換するにしても、モーターを装着するとかみ合わせが見えづらい面があります。また、ベルトドライブにしようとしても、かみ合わせが奥なので、ベルトが装着できません。
ということで、EM-10やEM-200のモーター置換の改造などは、現在も望遠鏡ショップなどでもかなり高価なのは納得します。まあタカハシの赤道儀を買う方は、それくらいの費用は大したことない?(笑)
自作OnStepを使うために、上記の1)~3)のようにモーターやギアが高価なのでは面白くないので、当方は、純正モーターと同仕様のギア比違いのモーターを入手して取り付けました。試しに、純正のギア比が1/250なので、1/60のモーターを入手し装着しました。2個で1諭吉強はしましたが^^;
当然、軸径も取付穴位置も同じなので、装着は、純正モーターを入れ替えるだけでした。TMC2100の16マイクロステップで駆動すれば、50ppsくらいで駆動できます。ただ、純正よりも抵抗値が小さ目なので、電流量が多いせいかノイズが多いのが困りものです。現在、Vrefは0.3Vまで絞ってます。Imaxは300mAなのだと思います。普段はステルスモードで、GOTO時はスプレッドモードになる、とかできないのかなあ?
肝心の導入速度ですが、FC-100を載せて、12Vなら240倍速、18Vなら360倍速は出てます。モバイルバッテリー利用の9Vでも150倍速くらいは出そうです。ついでに、純正のコントロールボックスを接続し、スマホなしでも手動操作できるようにしました。結構、お気に入りです。
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