fc2ブログ

ビクセンAP赤道儀の自動導入化&テスト遠征

今更感のある機材ネタです。ビクセンAP赤道儀をOnStepを使って自動導入化してみました。

経緯は、お手軽な眼視&電視観望用の架台としてAZ-GTiを使っていましたが、DCモーターの動作音や純正アプリの不安定さなどに嫌気がきて、やはりステッピングモーターを使ったお手軽機材が恋しくなりました、当初は、中古元祖ポラリエやポラリエUで検討していたのですが、入手手続きの際にいろいろありまして、気が付いたら、星空雲台としても利用でき、かつ、自動導入化も視野に入れられるAP赤道儀が届いていました笑。

OnStep化を実施するにあたり、以下のような方針を立てました。
1)ビクセン純正モーターは高価だし、小さくてトルクがなく高速化が見込めないようなので、別途安価なステッピングモーターを用意する。
2)お手軽な眼視&電視観望用なので、高精度は求めない。
3)モーター装着用のブラケットは、3Dプリンタで印刷する。
4)コントロール回路はなるべく既製品を使用する。

結局、モーターは中華製の2000円弱のNEMA14ステッピングモーター、タイミングプーリーでギア減速比2を構成、コントロール基板はのりきゅうさんのESP32用基板、モータードライバはTMC2130で1/64マイクロステップ、の組み合わせとなりました。

モーターブラケットはこんな形です。3Dプリンターが小さくて、縦横高さが10cm角しか印刷できないため、円形の左側部分は省略しています。
20230819_motor1.jpg

モーターを取り付けたら、赤緯体ユニットの穴を利用して位置合わせし、手動モジュールで挟み込みます。
DSC_0008.jpg

モーターと手動モジュールの微動軸との間の壁厚を調整して、タイミングベルトでピッタリと固定しており、掴んでゆすってもビクともしません。ちなみに、モーターブラケットは数回印刷し直しています。
20230819_motor3.jpg

コントロール基板は、のりきゅうさんのESP32基板です。のりきゅうさん、いつもありがとうございます。m(_ _)m
20230819_kiban.jpg

自動導入の動作風景です。多分、ホームポジションからアークトゥルスを導入しているところです。
20230819_douga.jpg

自動導入化にあたり悩んだ点は、NEMA14の安価なモーターでも導入時のトルクはかなり出るようで700倍速程度なら脱調もありませんが、減速比が小さく、マイクロステップが細かいせいか、通常のトラッキング時にベルト滑りが出ることがあります。トラッキング時の電流値を調整することで、バランスが大きく崩れていない限り大丈夫になりました。良く調べてみると面白いことに、東側が重い時は大丈夫で、西側が重い時に発生しています。単なるトルク不足、ではないようです。

あと、ESP32ボードを使用したメリットは追加モジュールなしでBluetoothが使えることですが、なぜかWindows11にアップグレードしたノートPCのみ、ASCOMドライバーで接続できない現象が発生しました。Windows10に戻したり、ASCOMプラットホームアプリをダウングレードしたり、OnStepドライバーを入れ替えたりしましたが、回復せず。別途Windows11をPCを入手して試したみたところ、そちらでも発生したので、OnStepコントローラー側が原因と推測し、結局、Wikiに記載のあったとおり、Arduino IDEのESP32ライブラリーを古いversion1.0.4にしたら、あっさり接続できるようになりました。

お盆休み前の台風接近する天気の中の晴れ間を狙って、自宅で電子観望を試したら、導入も追尾も問題なさそうだったので、ようやくastroGPVが真っ黒になった8/17に、大月方面の公園に遠征してテストしてきました。コロナ前から遠征はご無沙汰だったので、本当に久しぶりでした。
20230819_駐車場

雲が多めで高湿度の夜でした。一時、雷で雲が光るときもあり、少々戸惑いました。
20230819_夕焼け

薄いながらも、久しぶりに天の川を見ました。久しぶりの遠征で、撮影風景などは取り忘れましたが、星空案内人の大先輩が遊びに来てくれました。暗い駐車場にひとりきりだったので助かりました。本当にありがとうございました。
20230819_夏の大三角

KOWA500mm+ASI533MCでのM31です。写角に収まりませんでした。露出時間13秒で10分間ライブスタックしています。追尾精度もまずまずのようです。
20230819_M31.jpg

同じくM33です。眼視では本当に淡くて、良く見えませんね。
20230819_M33.jpg

同じくM27です。


今後は、星空雲台仕様で試してみたいと思っています。

ベランダでの電子観望メシエマラソン

 2月も中旬を過ぎ、ようやく暖かい日が来るようになり、今年もメシエマラソンのシーズンがやってきました。

 本来は、空の暗い広けた場所で、眼視用の鏡筒を手動で振り回して全メシエ天体を探すイベント、という名の修行なのですが、当方が実施するのは、もっとお手軽な、光害地の自宅ベランダでの電子観望メシエマラソンです。昨年は、新月期の天気が悪くて実施できなかったので、今年は一カ月早いのですが、GPVが真っ黒ならやっておこうと、2/17金~18土に実施しました。

 南向きのベランダからの観測なので、北側にある天体は観測できません。具体的には、赤緯48度以上のM81やM82、M101などの12個の天体は観測できません。なので、最大でも98個です。2021年は90個観測できました。

 機材は、ベランダに常時設置の自作OnStep+GP2赤道儀に、EF500mm+ASI294MC+QBPフィルターの組み合わせです。これなら、ベランダの手すりにぶつからないので、安心して導入操作ができます。

 野暮用で、開始時刻が1時間以上遅れてしまったのですが、機材調整後、ステラナビゲータで導入し、適度にASPSでPlateSolvingもかけながら、SharpCapで2分間のライブスタック画像を記録していきました。2分間だと、SharpCapに導入天体の名前を登録したり、Excelシートに導入時刻を記録したり、次に導入する天体を確認したり、している間に時間が来てしまい、結構忙しいです。

IMG_8278.jpg

IMG_8279.jpg

 冬の天体からしし座の銀河群まで、子午線から西側の天体を撮影し終わると、22:30ごろになりましたが、この後の春の銀河団は、まだ高度が低く、少し時間に余裕がありますので、入浴し仮眠を取りました。

 24:30頃に起きて再開しましたが、気温が下がってきて、時々ピント合わせをしないとピントがずれます。もちろん、先日DIYしたEFレンズコントローラを使いましたが、さすがに途中で電池切れしました・・・((+_+))

 あと、真夜中に赤道儀導入時のモーター音が鳴るのは最小限にするべく、近くの天体を順番に導入していきますが、屋根や電柱にかかって今は見えない、などもあり、別の天体を観測して戻ってくるときは、移動量が大きくなり、モーター音が響き渡るのも気が引けながらの観測でした。

 結局、朝の5時ごろまで頑張って、結果は79個でした。、2021年は観測できなくてリベンジを狙っていたM31やM33付近が、スタートが遅れて今回も観測できなかったことと、この日は太陽が赤経20時付近にいるので、最後の夏の天体が建物から昇りきらなかったのも影響しました。結果は以下の通りでした。

メシエ2023-1

メシエ2023-2

 来月、チャンスと気力があれば、またトライしてみようと思います。

手持ちカメラで黒点撮影(P950とTZ90)

2/15の太陽の黒点を手持ちで撮影しました。カメラは、Nikon P950とPanasonic DC-TZ90です。

20230215131053c40.jpeg
↑は、大きさ比較用の写真です。最大望遠時の35mm換算は、、P950は2000mm、TZ90は720mmです。P950は散歩に連れ出すにも大変ですが、TZ90は荷物が多い出張にも持っていけます。

202302151310567ad.jpeg
↑がP950での手持ち黒点です。AFの月モードで自動露出です。多少コントラストを上げてますが、トリミングなしです。

202302151311006c4.jpeg
↑がTZ90での手持ち黒点です。デジタルズームが2倍で1440mm相当です。P950と同じくND-100000を使ってますが、レンズ前にはねじ込めないので、手持ちであてているだけです。こちらはPモードでAFです。ファインダーがあるので、最大ズームでも楽ちんです。

さすがにP950の方が解像していますが、TZ90も頑張っています。小さいポシェットにも入る携帯性を考えると、TZ90に軍配が上がります。

SharpCapライブスタック彗星追尾機能を使ってみた

今日の東京地方は雪模様でした。
SharpCapのライブスタック機能に彗星追尾機能が付いたと聞いたので、遅ればせながら試してみました。

stack.jpg

ベータ版のv4.1.10136をダウンロードして使います。ライブスタック開始後、「Alignment」タブの「Align on a Comet」をチェックオンするだけです。

202302101742331a9.jpeg
↑EF500mm+ASI294MCを使い、彗星追尾機能オンで、10分間ライブスタックした画像です。彗星自体の星像が大きいせいか、綺麗な追尾とはいかないようです。

20230210173951d7f.jpeg
↑こちらは、3分間ライブスタック画像を、彗星基準で5枚スタックした画像です。

両者を比べると、星の並びは5枚スタックの方が綺麗ですが、彗星自体は似たような写りです。10分間もライブスタックすれば、通常は彗星は動いて流れて写ってしまいます。彗星追尾機能を使えば、画像処理なしで同じような写りなら、観望会の電視観望などならメリットはありますね。もう少し、明確に彗星位置などが指定できれば良い気がします。

アムンゼンクレーターの観測

2月に入って立春を迎える頃となり、ようやく寒さも少し落ち着いてきた満月期です。

こちらの記事によると、現在進行中のアルテミス計画では、水の氷などの資源確認のため、月の南極に付近の永久影付近が着陸地候補とのこと。さすがに南極地点は地球からは見えないでしょうけど、この時期、月が上を向いて顎付近を見せているようなので、月の南極付近のアムンゼンクレーターを探してみました。南緯84度付近にあります。

moon0204-2_20230207152108a25.jpg

FC100DC+1.4xエクステンダー+ASI533MCで10フレームをスタックしています。

この南極付近を、別サイズで動画にとり、SkySafariの月のアップ画像と見比べながら確認します。画像にマーキングをしていかないと、どれがどれだか、わからなくなります(笑)

A304585C-825E-4B87-A22B-BBE1C9A3DE8E.png

さすがにアムンゼンクレーターのセンターピークまでは写っていませんでしたが、何とか、外形だけは確認できたようです。日本語名は適当です。

スライド1 のコピー

次回、月が上を向くときは、拡大倍率を上げてみたいと思います。